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2011年5月

観察

「またトイレで本読んでましたね!?」

と旦那ちゃんに注意される

あの狭い個人的空間が何とも落ち着くのです

便座がほのっと控えめに温かいところもまた人肌にも似て心地良いのです。

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緑化

疲れが色濃く残る母に体に良いものをと

薬膳料理を食べに行こうと誘った

そうしたら嬉しいことに妹もついてきた

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デザートは黒胡麻豆乳シェイクと甘酒プリン

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久々にとても美味しく楽しい時間だっただけに

「ああ、もう現実に戻らなあかん」と嘆きつつ帰っていった母

次顔を合わせるのはおそらくじじ様の四十九日

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青々とした新緑に目を奪われるこの季節

わさわさと覆い茂る柔らかな若葉を携えた木々達に影響されたのか

やたらと緑色のものを口にしたい欲求に駆られる

お友達が送ってくれた可愛いお菓子チロリアンだとか

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マールブランシュのお濃茶ラングドシャだとか

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蓬の蒸しパンだとか

自然界に負けじと体内も緑化運動活発化。

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逡巡

あの日から一ヶ月もの日々が経過していて

『笑点』の歌丸さんを見て「じじ様!」と思ったり

『ちびまる子ちゃん』の友蔵を見て「ああ、じじ様!!」と思ったりしながら

祖父のいない世界を私は生きている

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覇気の無い私を

旦那ちゃんが「いつもの温泉にお泊りで行こう」と外に引っ張り出してくれた

車内から見る景色はいつのまにかめっきり春の様子を呈していて

毎日少しずつ季節が廻っていくことも

頭上に広がる空に棚引く雲が刻々と形を変えていくことも

感じる心をすっかりどこかに置き忘れてしまったような感じで

それが私を少しだけ焦りにも似た落ち着かない気持ちにさせていた

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御所市の川縁でお花見をしながらお弁当をひろげて

盛りを過ぎてしまった桜が散らす花弁を宝物のように恭しく摘んで掌にのせてはまた飛ばす

を繰り返し

それはそれはきりがない

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温泉に到着すると

お不動さんのお祭りでお餅撒きがなされた直後だったらしく

大女将がお餅をお裾分けして下さる

渓谷に咲く桜の木を見ながら

久々の露天風呂に浸かってうーんと伸びをする

夕食の桜懐石に舌鼓

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この時期よく来られているらしい地元の方に

「電気をおとして窓際で畳に寝転がって見る夜桜は最高ですよ」と教えて頂いた通りにして

見た夜桜は昼間とはまた違った妖艶さを兼ね備えており

暗闇にひと際目立つ美しさでもって立っていた

上着を羽織って旦那ちゃんと夜のお散歩に出た

以前読んだ川上弘美さんの小説に出てきた

「好きな人が死ぬと、すこし、自分も死ぬのよ」

その一文をまた思い出して

本当にその通りだと思った

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少し死んでしまった自分の一部は

冷たいけれど

どこか温かいに違いない

大切な人と共有しているかけがえのない一部分なのだから

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桜はとうに散り

今は浜辺一面這うように夕顔の花が咲いている。

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葬儀の日の朝

ちかちかと光る携帯を見ると

幼馴染から一通のメールが届いていた

「小さい頃、水玉ちゃんの家に遊びに行ったり、畑帰りの道でおじいさんに会ったりすると、笑顔で優しく声をかけてもらったなぁと思い出します」

と書いてあり

家族以外の誰かの記憶にじじ様の笑顔が思い出として残っていることをすごく嬉しくすごく有難く思い

喪服に着替えながら

じじ様が亡くなって初めて少し泣いた

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弟が大鍋で作ってくれていたおでんを皆で食べ

またホールへ

旦那ちゃんと弟の連名でお願いした供花に

姪が摘んできたタンポポを活けてくれた

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厳かに葬儀が執り行われた

出棺前の最期のお別れの際

気丈に振舞っていた祖母が棺に縋り付いて

「おじいさん、長い間ほんまにご苦労さんやったな」と声を震わせ

喪主である父も挨拶の途中で何度も何度も肩を震わせた

お忙しい中、生前の祖父を偲んで弔問にお越し下さり焼香して下さった沢山の方々お一人お一人に感謝の気持ちを込めて最敬礼をしながら

妹にだっこされた姪が私の顔を覗き込んで「だいじょうぶよ」と頭を撫でてくれた温もりと

背中にひっそりと添えられた旦那ちゃんの掌の温もりと

脇に添えた手に祖母の温もりを同時に感じながら

じじ様の核となる大切なものはちゃんと私の中にあると思えた

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斎場までの道すがら

満開間近の桜に

催涙雨みたいに優しく雨が降り

見慣れた懐かしい風景を薄桃色にけぶらせていた

まるでじじ様の人生の最期を彩る花道のようだった。

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深夜にお家に帰って来たじじ様の枕元に正座して

「おかえりなさい」と声をかけた

「やれやれ、やっと帰って来れたわ」と言いながら今にもむくっと起き上がりそうな気がして

いつまでもその場を離れられずにいた

妹がじじ様の頬に触れ「おじいちゃん冷たくなってる」と言ったので悲しくなって聞こえないふりをした

あのあたたかな体温を忘れない為に

その時から私は一切じじ様に触れるのをやめようと心に決めた

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明けて昼頃

葬儀社の方々が来られ湯灌の儀式が執り行なわれた

お風呂が大好きでいつも長風呂だったじじ様

久しぶりのお風呂はさぞ気持ちが良かったことだろう

ネクタイを締め、こげ茶色のスーツできめたじじ様を見て

祖母は「おじいさん、見違えたわ」と言い、薄く笑った

やっぱりじじ様は茶色がよく似合うと私はぼんやりとそんなことを思っていた

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その夜

セレモニーホールでお通夜が執り行われ

祭壇に飾られた遺影の中では

少し頬がふっくらとしたじじ様が晴れやかに笑っていた

それは私の結婚式の日に撮られたものだった。

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この度、東北地方太平洋沖地震でお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げますと共に、被災された皆様、そのご家族の方々に対しまして、心よりお見舞い申し上げます。

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祖父が亡くなった

2011年4月5日のことだ

早朝に危篤の知らせを受けて

旦那ちゃんと病院へ駆けつける

ナースセンターのすぐ隣にベッドが移動していて一瞬激しく動揺してしまう

嵌めてきた手袋を外し

寒がりのじじ様をびっくりさせないように自分の手がちゃんとあたたかいかどうか確認してから

お布団から手を差し入れて湯たんぽの上にのせられた手を見付けそっと握る

「来たよ」高めの声で耳元で囁く

膜がかかったように白っぽく濁った目から涙が幾筋も流れ落ちる

「もうそんな頑張らんでいいよ」と言ってしまいたかった

思い返してみると私が病院にお見舞いに行く日はなぜかじじ様の調子が優れないことが多く

手を握ることで意思の疎通を量っていた

痛みの波がやってくると

懸命に耐えているのだろう握しめられる手が痛くて

喉から出るくぐもった声がひどく苦しげで

一緒に病魔と闘っているかのように私の手は熱くなった

その驚く程の握力をこの先私は一生覚えているだろうと思う

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入れ替わり立ち代りやってくる家族や親戚の顔を一通り見て

日付が翌日に変わろうとする頃

静かに息を引き取った

幸せな最期だったと思うから

そう思いたかったから

涙なんか出なかった。

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