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葬儀の日の朝

ちかちかと光る携帯を見ると

幼馴染から一通のメールが届いていた

「小さい頃、水玉ちゃんの家に遊びに行ったり、畑帰りの道でおじいさんに会ったりすると、笑顔で優しく声をかけてもらったなぁと思い出します」

と書いてあり

家族以外の誰かの記憶にじじ様の笑顔が思い出として残っていることをすごく嬉しくすごく有難く思い

喪服に着替えながら

じじ様が亡くなって初めて少し泣いた

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弟が大鍋で作ってくれていたおでんを皆で食べ

またホールへ

旦那ちゃんと弟の連名でお願いした供花に

姪が摘んできたタンポポを活けてくれた

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厳かに葬儀が執り行われた

出棺前の最期のお別れの際

気丈に振舞っていた祖母が棺に縋り付いて

「おじいさん、長い間ほんまにご苦労さんやったな」と声を震わせ

喪主である父も挨拶の途中で何度も何度も肩を震わせた

お忙しい中、生前の祖父を偲んで弔問にお越し下さり焼香して下さった沢山の方々お一人お一人に感謝の気持ちを込めて最敬礼をしながら

妹にだっこされた姪が私の顔を覗き込んで「だいじょうぶよ」と頭を撫でてくれた温もりと

背中にひっそりと添えられた旦那ちゃんの掌の温もりと

脇に添えた手に祖母の温もりを同時に感じながら

じじ様の核となる大切なものはちゃんと私の中にあると思えた

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斎場までの道すがら

満開間近の桜に

催涙雨みたいに優しく雨が降り

見慣れた懐かしい風景を薄桃色にけぶらせていた

まるでじじ様の人生の最期を彩る花道のようだった。

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