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連合い

妹や母とお風呂を譲り合っていたらすっかり私が最後になってしまい

上がると結構な夜になっていた

Pict1473

「眠れへんで夜が長ごうてかなんわ」と祖母が言っていたのをふと思い出し

抜き打ちで様子を見に行くことにした

電気は消されていたものの

ぼんやりとした視界に蛍光色に光る小さな三日月が飛び込んできて

一瞬びっくりしつつも

それが電気のコードにぶら下げられた暗闇で発光する物体だと気付く

襖をそろそろと開けつつ「おばあちゃーん」と小声で呼ぶと

「なんや」とくぐもった声が聞こえ

祖母はゆったりとした動作でベッドから起き上がり

暗がりの中で見るその体の輪郭は明るいところで見るよりずっと心許無く

前よりまた一回り小さくなったような気がして少し胸が詰まる

じじ様のベッドが無くなり祖母のものだけではあまりに広く感じられるお部屋で

小一時間たわいないことをおしゃべりした

じじ様と結婚した当時のことを澱みなく懐かしげに話す祖母の顔には

薄っすらと少し赤みがさしていて

気恥ずかしげでそれでいてすごく幸せそうで

長く連れ添うことの偉大さと尊さを思った

時計を見るととうに午前二時をまわっていて

祖母とした恋バナは私だけの心に秘めて

年齢差のある女子会はお開きになった。

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