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実家に向かう途中

大きな虹を見た

祖父の一周忌

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母の鏡台に並ぶマニキュアを

姪の小指にだけちょんちょんと塗ってやる

ふーふーと息を吹きかけては嬉しそうにしているので

小さくても女の子やなーと微笑ましく見る

小さな爪が白蝶貝のように艶めいていて

「乾くまで触ったらあかんよ」と

つい言ってしまう自分を

野暮だなと笑い飛ばしたくなった

法要が一通り終わった後

親戚一同で会席料理を食べに行く

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父はまず一言

皆にお礼を言い

これからも家族の絆を大切にしていきたいと思っております

と締め括った

私は祖母が靴を履くのを手伝い

立ち上がらせて腰に手をまわし

杖をついていない方の手(左手)を軽く握り

寄り添うようにして歩いた

晴れたり雪がチラついたりする

変わりやすいお天気の中を

実家に戻り

暫しお茶しながら歓談した後

解散となった

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後片付けしていたら

姪がお仏壇の前に座って

「なんでくだものやおかしをおそなえするの?」

と傍に居た私に訊ねてきた

「おおじーじやそのまたじーじやばーば達が食べはるんやで」

「たべてはらへんやん。ぜんぜんなくならへんし」

「姿は見えへんでもここには死なはった人達の魂がいはるんよ」

神妙な面持ちで暫く考え込んでいた姪は

すっくと立ち上がり

「じゃあ、これもどうぞしてくる」

と後で食べようと楽しみにしていた

自分用のクッキーをお仏壇に供え

ちーんと鈴を鳴らした

じじ様が亡くなって一年近く経ち

いつのまにか目に見えないからいないものとして

思い始めていた自分を

少しばかり諌めた

昨年の今頃

心身共に弱っていて

毎晩よく眠れず

お肌もぼろぼろで

そんな中

お通夜だお葬式だと

ばたばたで気持ちが追いつかないながらも

喪服に着替えた私を見て

姪は「ねえね、かわいい」と言ってくれたのだった

小さなことで心にさざ波がたつ時

子供が発するシンプルな言葉と感情に

救われることが儘ある

姪の頭を撫でながら

「有難う」と言うと

「どーいたしまして」とにかっと笑う顔は純真無垢で

どうみたって子供のそれで

なのに仏様みたいに

慈悲深く憐れみに満ちていて

人間って生まれた時から偉大なものなのだと

思い知らされる。

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