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四方山話④

さてさてさて、GW四日目

五月五日晴れ

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すっきりと目覚める最終日
今おかれている状況に
身体と心が少しづつ順応し始めたと思ったら帰らねばならない
そういうことには慣れている
台所では祖母がおはぎをこしらえていたので
小皿に一つのせてお仏壇に御供えする

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旦那ちゃんの姿が見当たらないので行方を尋ねると
「珈琲を一杯飲んで、電車の写真を撮りに行きよったよ」とのこと

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満足気に帰宅した彼のお顔には
「お腹が空いた!」と書いてあった
彼は昨晩の残りの握りを
私は祖母お得意の混ぜ寿司とお煮しめを
大鍋で煮込んだお煮しめが美味しくて
作り方を訊くと
「煮物は遠距離恋愛」だそうで
灰汁を取りながらことことと辛抱強く煮込み
そこそこ味がしみたところで火を止めて
よりじっくりと味をしみ込ませるのがコツだとか
叔父と彼と連れ立ってお墓参りへ
線香を上げ
なかなか来れなくてすみませんと
祖父と御先祖様に日頃の非礼を詫びた
帰り道
突っ掛けていったモード履きすら愛おしくて
自分達が使ったお布団を天日干しして
ざっと掃除機をかけて
最後のお昼ご飯
おはぎを二つとお煮しめをゆっくりと味わって食べる
NHKの『のど自慢』が終わると『新婚さんいらっしゃい』
そのまま『アタック25』へとチャンネル移行するのは
休日の団欒では馴染み深いものである
帰る時間が近付いていることを
気が付かないふりをしては時計をちらと見る
そんなことを繰り返し
祖父にお世話になりました帰りますと伝えて
家中をぐるりと歩き
隅々まで目に焼き付ける
途中休憩を入れつつ
最寄り駅に到着
それでも乗る電車が来るまでまだ少し時間がある
「体に気を付けんさいね」
ぽつりぽつりと話し出した祖母は明らかに涙目で
「またいつでも遊びに来んさい」
そう言いながらも
次はいつ逢えるか分からない
そんな儘ならない悲しみに満ちていた
すぐに逢えない距離感は
人を強く優しくさせ
脆く寂しがりにもさせる
祖母は素直に「寂しい」と孫に言える程に
歳を重ねてしまったのだ

カンカンカンと耳障りな音を立てながら遮断機が下り
電車がホームに滑り込んでくる
シートに座り
窓を引き上げる
電車はなかなか動き出そうとせず
伝えるべきさよならは
焦れったくなる程に引き延ばされる
堪え切れなくなったらしい祖母の目から
涙がぽろぽろと零れて
それでも「すぐにまた来るからね」と
言えない自分が歯痒かった
手を振る祖母と叔父は
遠ざかっていく景色の中で
ツツジの鮮やかなピンク色にまみれて消えていった
ここ数日のあれこれをつらつらと思い出しつつ
電車に揺られ
津和野駅で再びのSLやまぐち号に乗り換え
彼は二度はしゃぐ

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こだまの車中での夜ご飯は
祖母が持たせてくれた混ぜ寿司のお握りとお煮しめ

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さあ食べようとしてはたと気が付く
お箸を入れ忘れたことに
苦肉の策でマドラー(彼のお楽しみの車内販売珈琲に付いてきた)で突き刺しつつ
代わりばんこに口に運んだ
そしてまたしても気が付く
ここ数日ご飯は酢飯しか食べていないことに。

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